世界中の様々なアーティストとともに、リデザイン版の可動フィギュアをハイエンド商品として展開していくthreezeroXシリーズ。
今回発売される『threezeroX高木アキノリ ウルトラマンゼロ』は、ウルトラマンべリアルを宿敵とする光の國の若き戦士。このデザインアレンジと原型を製作した高木アキノリさんに、造形製作の舞台裏を、ロングロングインタビュー!
INTERVIEW 高木アキノリ
『threezeroX高木アキノリ ウルトラマンゼロ』を手がけたきっかけについて。
大山竜さんがthreezeroXシリーズでバルタン星人を作られた流れで、次はウルトラマンベリアルとウルトラマンゼロを作るというお話をいただきました。それで大山さんがベリアル、僕はゼロを作るということで。
ウルトラマンゼロの登場する『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』も好きな映畫だったので依頼をいただけた時はとても嬉しかったです。若さが見えるすごくいいキャラクターなのですが、その若さがスーツの造形からも感じられるところが好きですね。
今回アレンジした部分は?
ウルトラマンゼロに関しては、もともとあまり変えないほうがいいかなと思って作っていました。作ったものをthreezeroさんに見せたら「もう少しアレンジしてみましょう」ということだったので、もう少しアレンジを加えたものを円谷プロさんに見ていただきまして、監修が入ったところをこちらで修正したりthreezeroさんのほうで調整してもらったりして完成、という感じです。
高木さんによる初期デザイン案
実際の商品
當初のデザイン案ではどのようなアレンジをされましたか?
threezeroさんからコンセプトを作ってアレンジしましょうと提案され、宇宙服っぽいモールドを入れていました。自分たちの星から飛び出して、宇宙服のようなスーツを著て戦っているというイメージで。スーツだと考えて作ったので背中にジッパーのようなモールドを入れたりまぶたに覗き穴を入れたりと、本來は目立たなくしているところをあえて殘すようなデザインにしていました。円谷ワンフェスでCoolPropsさんのウルトラマンゼロの1/1胸像が展示されていて、一緒に見ていた大山さんに「この穴って何なんですかね?」と聞いたら「覗き穴やろ」という話になって。ウルトラマンゼロって目の位置より上に覗き穴があるんですよ。ゼロは立ち姿が顎を引いた感じでシュッとしてるんですが、あのスタイルを作るために覗き穴の位置も考えられてるんだなとわかってすごく感動しました。なので殘しておきたいモールドだなと思って。
宇宙服をイメージしたというスーツは背中にジッパー風のモールドを入れていたが、実際の商品ではなしになった。
デザイン段階では目の上に覗き穴(赤い矢印部分)を再現していた。
當初のデザイン案の胸のディテールについて。
ウルトラマンゼロは胸や肩周りのディテールに特徴があって目立つので、そこに目がいくように情報量を足しています。ゼロって「ゼロツインシュート」という技があってカラータイマー周りから光線が出るんですよ。なのでカラータイマーにエネルギーが集まりそうなモールドやスリットを入れたり、展開しそうなディテールを入れたりと重點的に作っていました。
商品版ではなしになったが、初期デザインではカラータイマーのディテールにアレンジが加えられていた。
スーツの密著度が高く、ふくらはぎやお尻など筋肉のラインが浮き立っています。
當初はそういう部分だけアレンジしようと思っていましたね。生身の部分をよりリアルに、みたいな。
リアルなお尻やふくらはぎが特徴的な高木アレンジ版ウルトラマンゼロ。
細さへのこだわりはありますか?
こだわりというわけではないですが「細いけど筋肉質」みたいな體型は好きなので、今回もそういう感じにしています。
高木さん的なかっこいい頭身のバランスとは?
ウルトラマンゼロは見ていてもベストなバランスという気がします。あと初代ウルトラマンはスタイルがいいですよね。最近のウルトラマンはキャラによってバランスも作り分けられていてすごいですよね、ウルトラマンタイガとか見た目だけで若いんだとわかりますし。
今回のゼロは、足は少し長めかなと思います。靴を履かせているような作りだったのでかかとが少し高いです。最初はスニーカーっぽく作っていたので、その名殘ですね。
3DCGで作られていますが、納品までに何回ぐらい出力されましたか?
2回くらいですかね。やっぱり出さないとバランスがわからなかったので。手は付け替え用に何種類か作りました。
デザイン~原型は、2019年9月くらいから着手して4ヶ月くらいですかね。
付け替え用に作られた手のデザイン。
ディテールで一番こだわられたところは?
やっぱり銀色の胸や肩周りの部分ですかね。
マントについて。
「つけたいものはありますか」と聞かれて、threezeroさんでやるのであれば布はつけたかったのでマントをつけたいと。『ウルトラゼロファイト』でゼロがマントを被っていたので、それをイメージしてデザインしました。「ふちをボロボロにしてほしいです」と言ってthreezeroさんに渡したんですが、すごくいい感じに作ってくれて。
高木さんによるマントのデザインイメージ。
実際の商品に付屬するマント。中には形を保つためのワイヤーが入っている。
この商品を手にとった人に向けて。
マントがかっこいいので、マントがついたゼロのアクションフィギュアは少ないと思うので色々組み合わせて遊んでもらえたら!
PROFILE
高木アキノリ(たかき・あきのり)
1987年生まれ。19才で原型製作をスタート。友人たちと共に模型イベントに參加する中、メーカーの目に止まり商業原型デビュー。以降、ACROのKAIJU REMIX SERIES「ゼットン」、フレアの「KING OF PRISM by PrettyRhythm」など、數々の商業原型を手掛けている。現在は商業原型のかたわら、「はるきくりえーしょん」として模型イベントに精力的に參加。粘土造形・3D造形とマルチにこなし、その精密かつ繊細な造形とアレンジセンスで注目を集めている実力派原型師。近作に新感覚フィギュアゲーム『ドラゴンギアス』ドラゴンデザイン、プレミアムバンダイ「スーパーサイヤ人3孫悟空-龍拳爆発-」原型など。
2021年8月に作品集『ドラゴンテイル 高木アキノリ作品集+デジタル造形テクニック』(玄光社)を刊行した。
來源:78動漫