<第2回>
「SMPAD ライブロボ」 各超獣形態に迫る!
デザイナー 宮內利尚氏
BANDAIキャンディ事業部 擔當Y
インタビュアー:河合宏之氏
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──「超獣戦隊ライブマン」は、ファルコン、ライオン、ドルフィンをベースとしたビークルをはじめ、生物や命を意識させるコンセプトと作品になりますが、SMPADとしてはどのようなアレンジを目指しましたか?
擔當Y:劇中で嶋大輔さんが演じる天宮勇介が言った「俺達は、生きとし生けるものを守る戦士」という點が重要なキーワードでした。それぞれの獣型ロボ……僕らは「超獣」とカテゴライズしているのですが、彼らは生きとし生ける世界のすべての生物を守る象徴的な存在なのではないかと。そこで「すべての生き物の守護神としてのライブロボ」という方向性で企畫書をまとめました。
宮內氏:ディテール面では、「當時のプロップを作られていた職人の方々の意図を読み解く」ことがコンセプトになりました。90年代までの「スーパー戦隊シリーズ」の特殊撮影では、現在のCGと違い、立體物としてのプロップが作られていました。その雰囲気の源になっているのは、様々な素材を用いて生み出されたディテール感です。そのディテールを出來る限り反映させ、當時の雰囲気を取り込みたいと考えました。
擔當Y:実際に數百枚に及ぶ當時の寫真を版元様からお借りし、各話の映像のメカシーンを研究し、劇中のディテールを拾いました。
──まるで考古學のような雰囲気がありますね。
宮內氏:Yさんが集めてきてくれた膨大な資料や約50話におよぶ本編の映像を元にライブロボのディテールを考証していく、という點ではまさに考古學と言えるのかもしれませんね。
──ディテールを加えて行くときに、どのような點を考慮しますか?
宮內氏:機能をディテールに落とし込む作業は楽しいんですよ。ビークル時の機能が、ライブロボになるとどんな意味を持つのか……。例えば合體する事によりパワーが上がるのか、裝甲が強化されるのか、それとも機動性が上がるのか……、各超獣形態の機能がどのようにライブロボの機能に繋がって行くのか。それをイメージしながら作っていますね。
──1つ1つのディテールの意味を解読していくことも、SMPADの面白さだと感じますね。
宮內氏:アクアドルフィンの頭部は、なぜツルっとしたデザインなのか。SMPADでも、ディテールはそのままにしています。
なぜかといえば、アクアドルフィンは潛水艦で、耐圧性を考慮しなければなりません。ビークルになったときに、どんな機能が想定されていたのか。それを実現するためには、どんな機能を膨らませればいいのかという點は、作り手としてイメージします。
──次に各マシン形態のコンセプトやギミック的なポイントをお聞かせください。
●ジェットファルコン
宮內氏:ジェットファルコンは、マッハ10の極超音速で飛行するビークルですので、そのスピードに説得力を持たせるためのデザインを意識しました。
そこでライブロボの各スカートにスラスターを設け、ジェットファルコン形態では噴射口を後方に集中させることで、推進力を得るというギミックを取り入れました。
↑ジェットファルコン背面。各推進器の噴出口が集中していることが分かる
また、フロントスカートの前側には、スラスターの追加に合わせてエアインテークを設けています。さらに、翼自體にも厚みを設け、これも推進裝置というイメージでデザインしました。
↑フロントスカートとなる部分にはエアインテークの意匠が施されている。機體上面にもインテ―クが設置されており、戦闘機としてデザインされていることが分かる
↑翼面後ろ側の推進裝置をイメージしたディテール。機體全體に宮內氏のデザインが行き屆いている
●ランドライオン
宮內氏:ランドライオンは陸戦兵器ということもあり、プロップは大地を駆ける力強さが魅力でした。そのイメージを崩すことなく、オリジナルのディテールの意味をひとつずつ紐解きながら、フォルムを調整しました。
追加したデザイン部分としては、ライブロボの肩アーマーになるパーツ側面に、スラスターを加えました。このパーツはランドライオンへ変形すると、ちょうどスラスターが後方を向く形になり、推進パーツとして機能するという設定です。
↑ランドライオン背面。ライブロボの肩部となる箇所にスラスターが設置されているこごがわかる
↑ランドライオンの背面に搭載されるライオンカノンは、オリジナルのディテールを再現しつつ、バランス調整が行われた
↑尻尾の造形も當時のプロップに沿ったディテールで造形されている。今見ても非常に魅力的な造形になっていたことが分かる
●アクアドルフィン
宮內氏:アクアドルフィンは水中用の潛水艦ということで、オリジナルデザインの流線形フォルム、ディテールの意味を意識しながらデザインを行いました。ドルフィンの優美さや躍動感を意識して、全體的なフォルムの調整を行っています。
アクアドルフィンのこだわっているポイントとしては、腳部のカバーを開け、上下入れ替えると水中用形態と車輪を有した陸上用形態にそれぞれ切替らえれることです。SMPADは、水中用形態まで再現した、はじめてのアクアドルフィンと言えるかもしれません。
↑上:水中用形態、下:陸上用形態。パーツの上下を切り替えることにより両方の再現が可能
宮內氏:先ほどの説明と重複してはしまいますが、アクアドルフィンの頭部はオリジナルディティールを尊重しています。潛水艦に求められる耐水圧性や強度を考えたとき、當時の造形は非常に理にかなったシルエットになっていたんだなと改めて感動しました。
↑ドルフィンの頭部にあたる部分。ライブロボ形態でも全體の中で良いアクセントになっている
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いかがでしたでしょうか…?
宮內氏により今回の「SMPAD 超獣戦隊ライブマン」企畫の輪郭が見えてきたかと思います。
明日は「SMPAD ライブロボ」 ロボット形態をデザイナー 宮內氏が解説!
ついに姿を現すライブロボ!その詳細は明日 19日(月) 18:00公開予定!
お楽しみに!
(C)東映
來源:78動漫